救急ER看護師ナナオの日々の事件や役立つ情報とかとか

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映画『セブン』→SE7EN→七つの大罪→登場人物→ラストシーン→徹底考察

どうも。映画が好きなER救急看護師のナナオです。

映画『セブン』を観て、この衝動感はなんだろう!?と思う人も少なくないはずです。

今日は映画『セブン』について、好き放題に語っていきたいと思います。

セブン

 

 

映画『セブン』とは…

7つの大罪を題材に起こっていく連続殺人事件と、それを追う刑事たちの姿を描いたサスペンス・スリラーです。公開から20年以上が経った現在でも映画史に残る名作との呼び声が高い作品です。

 

その衝撃的な内容と先鋭的なビジュアル・センスは、今なお色褪せることはなく伝説となっています。ハリウッド映画界でも、最もダークで最も無慈悲な映画のひとつだ!と評されているほどです。すごい映画だということは間違いなしの作品の1つです。

それでは私なりに映画『セブン』について語っていきたいと思います。

 

 映画『セブン』が生まれるまで

 『セブン』のシナリオを手がけたのはアンドリュー・ケヴィン・ウォーカーです。彼は映画業界で働く日を夢見ながら、ニューヨークのタワーレコードで働く若者でしたが、ニューヨークで暮らす日々に嫌気がさしていたようです。都市に充満する人々の怒り、モラル低下によって人々が日々犯す小さな罪、それを見て見ぬふりする腐敗した社会への鬱憤…これらを脚本に込めたのが『セブン』だと言われています。

 

そして監督は「ファイト・クラブ」や「ゴーン・ガール」で有名なデヴィッド・フィンチャーです。今でこそ超有名な監督ですが、当時は「エイリアン3」で酷評を受け、映画への情熱を失っており「新たに映画を撮るくらいなら、大腸癌で死んだほうがマシだ!」と語るほどだったそうです。

 

 当時、映画会社から本作の脚本が回ってきたときも、フィンチャーはほとんど読まずに1年間放置していたそうです。ですが、改めて脚本を読んだ際に「これはものすごい脚本だ!」と、そのストーリーに衝撃を受け、監督になることを承諾しました。

 

 映画『セブン』の重要な鍵を握る“七つの大罪”とは

“七つの大罪”とはカトリック教における概念で、堕落した人間が犯すとされる全ての罪の根源となるもののことです。

 

シナリオを書いたアンドリュー・ケヴィン・ウォーカーは、毎日のように強盗や殺人が起こるニューヨークでの生活に心底うんざりし、そんな日常に対して見て見ぬ振りを決め込む社会の態度にも辟易していたのです。

人は皆、日々「七つの大罪」を犯しているのではないか?

アンドリュー・ケヴィン・ウォーカーのそのような考えが、映画『セブン』を具現化し、徐々に形となっていったのでしょう。

 

ここで「七つの大罪」を、罪の重い順に並べてみていくことにします。 

1.嫉妬(ENVY)他人の幸福を妬み、他人の不幸を喜ぶ感情のこと

2.高慢(PRIDE)過度に自惚れていること

3.怠惰(SLOTH)労働を放棄して怠けていること

4.憤怒(WRATH)怒りで理性を破壊し、魂の中に悪魔を迎え入れること

5.強欲(GREED)金銀など財産に対しての異常な物欲のこと

6.肉欲(LUST)子孫繁栄のためではなく、淫らに性的快楽に陥ること

7.暴食(GLUTTONY)節制のない食事は、欲望を助長させる根源となること 

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七つの大罪をモチーフにした最も有名な文学作品は、映画でも言及されていたダンテの長編叙事詩「神曲(La Divina Commedia)」であり、天国と地獄との間にある煉獄が舞台。死者が生前に犯した七つの罪をあがないながら上へ上へと階段を登り、全て終えると天国に到達する、という物語になっています。「罪を浄化したその果てに、幸福が待っている」のです。台詞でも出てきましたね。奥が深い…

 映画『セブン』の登場人物が持つ意味

サマセット

本作の主人公はミルズだと思われることが多いのですが、監督のフィンチャーと脚本家のウォーカーは「これはサマセットの物語だ」としているみたいですね。博学なサマセットはこの事件を解決に導くうえで大きな役目を果たし、モーガン・フリーマンの名演もあって大きな存在感を持っています。 定年退職を目前にした彼は、長年の刑事人生で多くの殺人事件を追ってきました。それを通じて、「普通の人間」の持つ悪意を目の当たりにした彼はうんざりしてしまい、人間や社会を倦んだ目線で見るようになったのです。まるでこれはウォーカーの タワーレコードで働いていた若者時代を投影しているかのように写ります。f:id:nanao1230:20190516142710j:plain

ミルズ

サマセットと対照的な存在が、若い刑事のミルズです。正義感の強い彼は殺人事件を追う刑事に憧れ、サマセットとともに働くこととなりました。 まだ若く熱血的な彼にはトレイシーという妻がおり、彼女と幸福な家庭を築いていました。一方でミルズとの子どもを妊娠したトレイシーは、まだ精神的に幼いミルズが父親になれるのかを心配し、堕胎するかどうかを迷ってサマセットにのみ妊娠を打ち明けるのです。 そのシーンからもわかるように、この作品においてミルズは子どもっぽい性格として描かれています。その性格と彼の持つ幸福な家庭は、7つの殺人が完成し観客を突き放すラストシーンのために重要な伏線となるのです。f:id:nanao1230:20190516142850j:plain

ジョン・ドウ

「ジョン・ドウ」とはそもそも正体不明な者を指す言葉で、日本語でいうところの名無しの権兵衛なんです。要は「どこの誰だかわからない奴」です。世の中の無関心や小さな罪を許さず、猟奇犯罪的な手つきで次々と殺人を重ねていく彼の姿は、これもまたウォーカーの タワーレコードで働いていた若者時代を投影しているかのように写ります。f:id:nanao1230:20190516143008j:plain

 『セブン』なのに殺された人数が合わない!?七人目の犠牲者とは…

映画『セブン』における“七つの大罪”の猟奇連続殺人事件を、時系列ごとに追ってみると…

第一の殺人(暴食)被害者:肥満の男

第二の殺人(強欲)被害者:弁護士

第三の殺人(怠惰)被害者:精神疾病のある廃人→死んではいない

第四の殺人(肉欲)被害者:娼婦

第五の殺人(高慢)被害者:モデル

第六の殺人(嫉妬)被害者:ジョン・ドウ

 第七の殺人(憤怒)被害者:ミルズ→死んではいない

 

カウントしてみると、「七つの大罪」で殺されたのは五人(精神疾病のある廃人とミルズは生き残っている)です。ミルズの妻トレーシーが頭を切断されて殺害されたのを含めると…それをプラスしても六人です。これは何故でしょう? ジョン・ドウがあえて「七つの大罪」になぞらえた連続殺人の死者を7人にしなかった理由があるのでしょうか?

いや…

実際には7人いたのです。そう、7人目の被害者は…

トレーシーが身ごもっていた子供だったんです。

しかしながらとレーシーとその子供は、七つの大罪に絡んでいるのでしょうか!?なんだか考えれば考えるほど困惑してきます。とにかく…深い…

  映画『セブン』で試行錯誤されたラストシーンの真意とは…

誰もが衝撃を受けたバッドエンドの『セブン』のラストシーン。ジョン・ドウはミルズの妻トレーシーを惨殺し、その頭を切り落とすことでミルズに「憤怒」の感情を芽生えさせ、自分自身を射殺するように誘い込みました。ジョン・ドウが抱えていた「嫉妬」の罪を自分自身があがなうことで「七つの大罪」が完璧に完成しました。f:id:nanao1230:20190516143333j:plain

しかし、実は別案として、サマセットがジョン・ドウを射殺するラストシーンも考えられていたそうです。

ミルズが悪魔に魅入られて「憤怒」の罪を犯すことを阻止するために、サマセットがその身代わりとなる、という映画会社側のバッドエンド緩和策だったんでしょうね。

映画会社はこの案を強く推したらしいですが、フィンチャーは最後までバッドエンドにこだわったそうです。その意図として、アンドリュー・ケヴィン・ウォーカーが「暴力が暴力を呼ぶんだよ」と発していたことが強く影響しているとのことです。

哀しい暴力の連鎖を描くには、引退間近の老刑事ではなく、若々しく無垢な青年が引き金を引くことが必要だと…

また、フィンチャーはこの映画をサイコ・スリラーではなく、ホラー映画として捉えていたそうです。『セブン』は人間が自制心を次第に失っていく映画である、と。

そう考えると、やはり最後の罪を背負うのはミルズしかいないのかもしれませんね。

そしてもうひとつ…

フィンチャーがこのバッドエンドにこだわった理由…

それは映画の終盤近くで交わされる会話…

ミルズが「2ヶ月も経つとみんな興味を失い、全て忘れてしまう」とジョン・ドウに問いかけると、彼はこんな言葉を返す。「まだ全部終わっていない。全てが終われば、その結末は人には理解されにくいだろうが、認めざるを得なくなる」と。

これは、映画『セブン』という作品そのものを表現しているセリフではないでしょうか。

おそらくサマセットがジョン・ドウを射殺するラストシーンになっていたら…2ヶ月も経てば人々の記憶から忘れ去られる映画になっていたのではないでしょうか。

人には理解されにくい衝撃の結末だったからこそ、本作は公開されてから20年が経過してもなお人々を悪魔的に魅了しているのではないでしょうか。

 映画『セブン』まとめ

 きっとこの映画は好き嫌いが二つに分かれる作品なのではないでしょうか。でもそういう作品こそが健全であり、世に残る作品だと私は思っています。

 

私は好きです。役者も揃ってますしね。監督も好きです。私は映画『セブン』を数回観ましたが、毎回思う感情が違ってくるんですよね。不思議ですね。なんでしょうね、この気持ち…この感覚…

 

どうでしょう。映画『セブン』を観た皆様の意見もいろいろ聞かせてほしいところです。そしてまだ観てない人も、この機会に一度観てみてはいかがでしょうか?私はおすすめです。

 

また、気になる作品があったら感想書いていきますね。宜しくお願いします。 

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お話は続く…

 

nanao1230.hatenablog.com